作業療法士

作業療法とは?

 リハビリテーション専門職の1つに作業療法士という仕事があります。作業療法士は、今も昔も理解してもらいづらい職業です。「作業って何?」「作業療法って何?」、今回はそんな疑問にお応えします。

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。(引用:日本作業療法士協会)

 上記は、2019年に日本作業療法士協会によって改訂された作業療法の定義です。価値とは、「その人が大切にしていること・重要なこと」です。生活行為とは、「1日24時間365日を通して行われる活動のこと」です。これらを統合して、簡単に作業療法士について説明すると、「作業療法士は、24時間365日を通して、人々にとって目的のある活動・大切にしていること・重要なことを支援する」ということになります。

作業に焦点を当てた実践って何?

 次に、作業に焦点を当てた治療、指導、援助とは何でしょうか?作業療法士はこれを総じて、作業に焦点を当てた実践(Occupation-Based Practice: OBP)と呼んでいます。

 OBPとは、クライエントの人生の中で、作業機能障害を評価し、介入する方法の総称です。作業療法は、身体領域・精神領域・発達領域・高齢期領域の4つに大別されています。特に精神障害のあるクライエントも対象としているため、人を心と身体の両面から捉える理論モデルが発展してきました。具体的には、人間作業モデル(MOHO)、作業と結びつきのカナダモデル(CMOP)、作業科学(OS)、作業療法介入プロセスモデル(OTIPM)、生活行為向上マネジメント(MTDLP)などが代表的です。これらの理論を背景として、作業療法を提供すること自体がOBPであるともいえます。

作業機能障害って何?

 さて、OBPの説明の中に「作業機能障害」という言葉が出てきました。作業機能障害とは何でしょうか?

 作業機能障害とは、「生活行為(作業)を適切にやり遂げられない状態」のことです。具体的に、作業機能障害は4つに分類されています。

① 作業不均衡
 日々の生活行為のバランス が崩れた状態
② 作業剥奪
 外的要因によって 生活行為ができない状態
③ 作業疎外
 生活行 為に対して意味を見いだせない状態
④ 作業周縁化
 多くの人が価値を認めるような生活行為を行えない状態

まとめ

 今回は、作業療法士と作業療法の仕事について紹介しました。作業療法士の仕事を正確に伝えることは容易ではありませんが、今回紹介した内容が少しでも臨床家の皆さんやこれから作業療法士を目指す高校生の皆さんのお役に立てれば嬉しく思います。

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